文部科学省 国立教育政策研究所 研究企画開発部 教育研究情報推進室 総括研究官 榎本聡 総合情報サイト

National Institute for Educational Policy Research
国立教育政策研究所

教育の情報化支援サイト
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研究概要

教育工学及び教育情報ネットワーク分野を専門としています。2001年度より,政府の「ミレニアム・プロジェクト」「e-Japan重点計画」等で示された「教育情報ナショナルセンター(National Information Center for Educational Resources)」の企画・設計・開発・運用を行ってきました(政策コンテストの結果,2011年3月末で廃止)。教育情報ナショナルセンターは,初等中等教育から生涯学習までを対象とし,約30万件の優良なコンテンツを収集し,提供してきました。

教育情報ナショナルセンターの廃止後は,主に初等中等教育を対象とした研究を展開し,優良なディジタル教材,優れた実践事例や指導案の収集,提供を図り,忙しい現場の教員のサポートを担うシステムの開発,運用を進め,教育の情報化を推進していく計画です。

また,学習用のデバイスとして,携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)に着眼し,これらを活用した授業の教育効果について検証してきました。ノートパソコンやタブレットPCは,小学校,特に低学年の児童には重すぎて,持ち運んで利用することが困難です。手軽に持ち運べるデバイスにより,教室外(校外での観察学習や体育の授業等)での活用の有意性について検証してきました。現在,スマートフォンやスレートPCが普及しつつあり,これらのデバイスも含めて,児童・生徒にふさわしい(おそらく学齢に応じて変化すると考えられます)デバイスの提唱ができればと考えています。これは,近年話題となっている,学習者用ディジタル教科書にもつながるものです。

競争的資金

競争的資金による研究テーマ,概要,補助金額等は次の通りです。

科学研究費
タイトル
開始年 終了年 カテゴリ 代表・分担 金額
概要
学習者用デジタル教科書プラットフォームの標準化に関する基礎研究
2017年 2018年 挑戦的研究(萌芽) 研究分担者 (4,900,000円)
学習者用デジタル教科書において,育成を目指す資質・能力の育成や,各教科書間や他システムとの連携を考えつつ,どのようなデータ構造を持つべきか,どのように外部システムとの接続形態を取るべきか,児童生徒が使用するインターフェイスはどのようなものが適当であるか,学習履歴を次の学びに生かすためにはどのような履歴項目が必要となるか,について基礎研究を行う。
非接触IC技術を活用したスマートデバイスによるデジタル教材の提示と評価
2012年 2013年 挑戦的萌芽研究 研究代表者 2,900,000円
本研究は,これまで主に若手研究(B)で研究してきた,非接触IC 技術を活用した学習システムの発展を図るものである。これまでは,PDA と非接触IC カードリーダ・ライタを活用してきた。しかし,いわゆる「おサイフケータイ」として非接触IC チップを内蔵した携帯電話が普及し,近年では,急速にスマートデバイス(スマートフォン)の利用が拡大している。スマートデバイスでは,携帯電話網を使ってどこでもインターネットに接続できる。その特徴を生かし,小学校低学年でも持ち運びできる小型軽量で,学校外でも利用できる,デジタル教材を提示できるシステム(学習者用デジタル教科書)を構築することを目的としている。また,構築したシステムを実際の授業で活用・評価し,学習者用デジタル教科書の一形態として提案することを目的とする。
振り返り学習機能を有する携帯型体験学習支援システムの開発
2008年 2009年 若手研究(B) 研究代表者 3,400,000円
本研究課題では,以下に示す具体的な機能を有する,携帯型体験学習支援システムの開発とその運用,評価を目的とした。 1. 児童ごとの学習履歴を収集し,振り返り学習コンテンツを自動生成する機能の開発 2. 振り返り学習時の学習素材に対するコメント(評価や質問等)を投稿できる機能の開発 3. 振り返り学習コンテンツの活用状況を教師が把握できる機能の開発 このうち,本年度に実施した研究は以下のとおりである。 1. 児童ごとの学習履歴を収集し,振り返り学習コンテンツを自動生成する機能の開発 携帯情報端末に記録された学習履歴を,インターネット上の履歴データベースサーバに記録し,その情報をもとに振り返り学習コンテンツを動的に生成できるようにした。 2. 振り返り学習コンテンツの活用状況を教師が把握できる機能の開発(基本機能) 振り返り学習コンテンツの活用状況のうち,アクセス日時,回数等を把握するための機能を開発した。 3. システム予備評価 開発した各機能について,予定した性能を発揮できるかを検証するために,小学校の教諭による評価又は実際の授業場面において利用し,予備評価を行った。この作業には,昨年度までに開発したシステムの際に協力を頂いた熊本県立教育センターおよび同県の小学校教諭等と検討を重ね,平成20年11月に熊本県人吉市立の小学校において実施した。
学習履歴管理機能を有する携帯型観察学習支援システムの開発
2006年 2007年 若手研究(B) 研究代表者 3,600,000円
本研究課題では,(1)非接触IC(RFID)カードの情報読み取り機能(2)非接触ICカードによる,静止画像,動画像,詳細情報の自動検索機能(3)非接触ICカードへ書き込む情報を自由に定義して記録できる,教師用管理機能(4)提示履歴等を非接触ICカードに書き込む学習履歴管理機能の各機能を有する,携帯型観察学習支援システムの開発とその運用,評価を目的とした。本年度は,2年計画の2年目にあたり,主として実証実験を行った。 (1) 教師用管理機能の改良・機能向上 前年度に開発した機能について,教師等の評価を元に,必要に応じて改良,機能向上を図る計画であった。しかし,前年度の評価結果から,すでに十分な機能を有していることが分かったため,本年度は,改良や機能向上は実施する必要がなかった。 (2) 学習履歴管理機能の改良・機能向上 前年度に開発した機能について,教師等の評価を元に,必要に応じて改良,機能向上を図る計画であった。しかし,前年度の評価結果から,すでに十分な機能を有していることが分かったため,本年度は,改良や機能向上は実施する必要がなかった。そこで,学習履歴管理機能について,機能拡充の可能性の検討を実施した。 (3) システム利用効果に関する実証実験 開発したシステムを,熊本県の小学校において活用し,児童及び教師による評価のための実証実験を実施した。この評価から,本研究のシステムが学習内容の理解促進等において,一定の有効性を有することを実証した。
即時情報提示型の観察学習支援システムの開発と評価
2004年 2005年 若手研究(B) 研究代表者 3,600,000円
現在の学習指導要領では,情報活用能力育成のための学習活動や,体験的学習を積極的に取り入れることが求められている。そこで,短い授業時間で効果的な学習を行うために,屋内・屋外を問わず,同時に多数の端末が高速に通信できる,操作が容易な観察学習支援システムを開発する。これにより,情報活用の実践力を養うとともに体験的な学習を行うことができる。 本研究では,以下に示す具体的な機能を有する,即時情報提示型観察学習支援システムの開発とその運用,評価を目的とする。 ・非接触IC(RFID)カードの情報読み取り機能を有する携帯型情報提示システムの開発 ・非接触ICカードによる,静止画像,動画像,詳細情報の自動検索機能の開発 本年度は,上記目的を達成するために,以下の研究を実施した。 ・観察対象物情報の再検討 前年度の成果をもとに,観察対象物情報として非接触ICカードに書き込む情報について再検討した。この作業は熊本県人吉市立東間小学校教諭並びに熊本県立教育センター指導主事を中心として行った。 ・観察対象物情報の検討と観察学習におけるシステム利用効果の分析評価 開発したシステムを,熊本県の小学校において観察学習に活用し,児童および教師による評価を実施した。
漢字かな変換機能を備えた学習支援・コミュニティシステムの開発と評価に関する研究
2002年 2003年 若手研究(B) 研究代表者 3,400,000円
子どもたちの「情報活用の実践力」を高めるためのツールとして,本年度は漢字かな自動変換機能を有する電子メール機能を開発した。電子メールにおける漢字表記を,学習者の学年に合わせて自動的に変換し,表示することが可能となった。電子メール機能は,専用のウェブメールシステム(ブラウザを用いたメーラー)を利用したものであり,前年度に開発した漢字かな自動変換機能を有する電子掲示板機能と融合したひとつのシステムとした。電子掲示板への参加申請等は電子メールで行われることになっており,この手続きも漢字かな自動変換による表示が可能となった。これらにより,小学生と高校生など学齢の異なる子どもたちのコミュニケーションを支援することができるようになった。 また,学習者の学年や興味・関心等によって必要とされる学習情報を予測する,学習情報予測機能として検索システムで用いられたキーワードや,リンクに含まれる単語等を蓄積し,その頻度によって学習者の興味・関心を判断する方法を採用することとした。しかし,児童生徒が検索システムで用いるキーワードには,学習情報に直接結びつかない語句や不適切な単語が含まれる。プライバシー保護の観点からも,不要な単語を蓄積することは好ましくない。この問題を解決する最適な方法を検討したが,結論には至らずシステムの実装を今後の課題とした。
野外観察学習用ディジタル素材の開発と携帯端末による検索システムの構築と評価
2002年 - 特定領域研究 研究代表者 4,929,000円
本研究では,携帯電話で表示可能な野外観察学習用のディジタルコンテンツライブラリを構築し,その検索システムを開発した。これにより,観察学習時に即座に検索ができるようになった。また,開発したシステムを用いた野外観察実習を実践し,その有用性について検討した。本研究では,携帯電話で利用可能なディジタルコンテンツを作成するために,現在市場に出ている携帯電話の仕様を元に,画像サイズ等を規定した。 WebサーバとRDBMSによる検索システムを開発した。Image Magickを利用し,360×360ピクセルの画像を120×120ピクセルに自動縮小する機能を有する。また,アクセスしている携帯電話のキャリアを判定し,キャリアに応じたページ記述言語を用いて,ページを自動生成するようにした。本システムは,携帯電話用のものであるが,コンピュータでのアクセスも可能とした。その際の表示画像サイズは240×240ピクセルとした。RDBMSに登録するデータは,教育情報ナショナルセンターで定めた学習オブジェクトメタデータに準拠するようにした。 野外観察により撮影した画像を,国土地理院発行の数値地図を基に作成したディジタル地図上にマッピングする機能を開発した。ディジタルカメラや,カメラ機能つき携帯電話等で撮影した画像と,GPSの緯度経度情報を登録することにより,地図上にサムネイル画像またはポインタ画像を表示することができる。地図上に表示する場合,カテゴリごとに表示することができる。ポインタ画像を選択した場合は,色分けすることにより,最大3種類のカテゴリを同時に表示することができる。 2002年10月10日及び11日に,熊本県人吉市立東間小学校の4年生児童68名を対象に実証実験を実施した。児童はまず,校庭の植物観察を行った。観察時には,12台の携帯電話を用いてグループごとに本システムのデータベースにアクセスし,植物に関する情報を即時検索した。携帯電話を用いた野外観察実習の有効性を検証するため,校庭にある13の植物の写真を見て名称を回答する再認課題(ペーパーテスト)を行った。ペーパーテストの結果について,一要因分散分析(被験者内比較)を行った結果,授業前と比較して,授業後,一週間後の平均値は0.5%水準で有意に高いことが明らかになった。
教育情報ナショナルセンターの構築と評価に関する研究
2001年 2005年 基盤研究(S) 研究分担者 101,550,000円
本研究では,わが国おけるあらゆる教育学習情報を扱う「教育情報ナショナルセンター(NICER)」の機能立ち上げに関する研究開発を行った。本研究のもっとも特徴的な成果は,学習オブジェクトメタデータ(Learning Object Metadata,LOM)による検索方式を開発したことである。これにより各地に散在するサーバに蓄積されている教育情報にLOM(タイトル,概要,キーワード,学習指導要領の関係,開発者,権利関係など)をNICERに登録し,LOMデータベースを検索した後にそれぞれのサーバから表示することができるようにした。また,教育用情報は学習指導要領によって分類し,教科書の目次からも検索できる。また,本研究では「かな」や「漢字かな混じり文字列」を入力しても,その文字列と同じ意味の漢字も一緒に検索できる「学習用語支援検索システム」を完成させた。このシステムでは漢字を1字,あるいは2字間違えて入力しても,正しい漢字をアドバイスしてくれる。さらに,NICERの英語ページを作成し,外国からの利用を可能とした。 NICERが扱うカテゴリーを初等中等教育から,高等教育,生涯学習までを追加し,これとは別に「日本を学ぶ」,「世界を学ぶ」,「著作権・情報モラル」のカテゴリーを設けている。そして,各種の学習支援システムを開発して運用している。本研究では,教育用コンテンツの充実について精力的に行った結果,5年間の目標値であった10万件を超える14万件の教育情報を登録することができた。また,平成17年度の利用アクセス数が300万アクセスを超えることができた。そして,任意に抽出した5,000校にアンケート調査表を送り,NICERの利用実態調査を実施した。その結果,多くの教員に利用されていることを明らかにした。以上,本研究の成果はわが国における教育の情報化の推進に大きく寄与することができた。
研究成果公開促進費
タイトル
助成年 カテゴリ 役割 金額
概要
デジタルコンテンツデータベース
2015年 データベース 委員長 3,000,000円
2016年 データベース 委員長 2,900,000円
2017年 データベース 委員長 4,100,000円
教育の情報化が進められている。初等中等教育では,1人1台の端末環境が整備されつつあり,授業でデジタルコンテンツ(デジタル素材・教材)を使う場面も増えている。授業で効果的にデジタルコンテンツを活用するために,教科,単元ごとに分類された,デジタルコンテンツデータベースの整備が求められている。
国立教育政策研究所では,国の方針に基づき,教育情報ナショナルセンターを運用し,デジタル素材を中心に約17万件のLOM(学習オブジェクトメタデータ)を作成した。教育情報ナショナルセンターは事業仕分けにより廃止となった。現在,教育情報共有ポータルサイトとして,新たなサービスの提供を始めているが,約17万件のLOMは,旧学習指導要領に基づいて作成されているため,現在の教科書で使用するためには,新学習指導要領に基づいてLOMを再作成する必要がある。学習指導要領の改訂も予定されている。また,教育情報ナショナルセンターの廃止後に公開されたデジタルコンテンツは,LOMを新規に作成する必要がある。
委託事業等
タイトル
開始年 終了年 委託・助成元 代表・分担 金額
概要
教育情報ナショナルセンターの学習オブジェクトメタデータを活用したデジタル教材及び指導案・実践事例共有システムの開発と評価
2011年 - パナソニック教育財団 代表者 1,380,000円
本研究では,国立教育政策研究所が提供している,教育情報ナショナルセンターで収集した学習オブジェクトメタデータ(LOM)に対して,簡易なハードウェアによって検索が実現できるシステムの構築をすることを第一の目的とした。これをデジタル教材検索システムとして構築した。サーバ機器のホスティングサービスを利用し,その機器で動作する無料のソフトウェア群でシステムを構成した。また,LOMに収録しているデジタル教材の授業での活用方法を,指導案・実践事例として提供することにより「デジタル教材の使い方がわからない」といった教員の支援機能を持つことを第二の目的とした。昨年度,取手市において,教育情報ナショナルセンターを活用した授業実践を実施した。その事例が125件あり,指導案・実践事例検索システムとして検索できるようにした。指導案・実践事例検索システムの「活用したデジタル教材」とデジタル教材検索システムをリンクするようにし,指導案・実践事例の検索者が,デジタル教材の詳細を知ることができるようにした。
教育活用のためのブロードバンドデジタルコンテンツ流通に関する実証実験
2002年 2003年 総務省 - 不明
本実証実験は,バーチャル・エージェンシー「教育の情報化プロジェクト」報告や,ミレニアム・プロジェクト,e-Japan重点計画などを受けて,「EduMart構想」として総務省が実施したものである。EduMart構想とは,教育の現場が必要とするコンテンツを多様な選択肢の中から利用できるようにし,教育の情報化を図るものである。ハードウェアの整備だけではなく,ソフトウェアの整備が必要不可欠であり,教育コンテンツ市場の活性化を図るために,ディジタルコンテンツの流通環境を,国,自治体,民間の事業者が協力して整備していこうとするものである。このEduMart構想における実証実験は,参加校をブロードバンドで結び,閉じたネットワーク(イントラネット)内でコンテンツの流通プラットフォームを構築するものであった。ネットワークを通じたコンテンツ流通には,著作権管理や利用認証などの環境整備も必要である。本実証実験において,教育情報ナショナルセンターは,コンテンツと検索機能の提供を担当した。
教育用コンテンツ開発事業-コンテンツ制作とシステム支援
2001年 - 文部科学省 - 不明
本事業では「スチル動画工房」システムを開発した。スチル動画工房は,複数の静止画をつなぎ合わせることにより,滑らかに動く動画のように見せることが可能なシステムである。従来の動画は,ファイルサイズが大きくなるが,本システムの疑似動画はファイルサイズが小さくなる点に特徴がある。学校現場にブロードバンドが普及していなかった当時において,軽快に動作する疑似動画は優れたものであった。社会,理科,体育,美術・図画工作の分野で604件のコンテンツを作成し,教育情報ナショナルセンターにおいて提供した。学習者用の画面のほか,指導のポイントを示した解説画面も作成,提供した。また,本システムに複数の静止画をアップロードし,疑似動画を作成する機能も構築した。
プロジェクト研究(所内競争的資金)
タイトル
開始年 終了年 代表・分担 金額
概要
教員養成課程等におけるICT活用指導力の育成に関する調査研究
2016年 - 研究分担者(事務局) 4,227,000円
2017年 - 研究分担者(事務局) 7,504,000円
本研究は,21世紀を生きる子供たちを指導する教員に必要とされるICT活用指導力の育成について,総合的に調査研究を行い,学生が教員養成課程及び教職課程(以下,「教員養成課程等」という)で身につけるべきICT活用指導力を育成するカリキュラム等の諸課題の改善に資する知見を得ることを目的とする。
具体的には,研究期間を通して,教員養成課程等を置く大学及び教育委員会・教育センターに対する質問紙調査やヒアリング調査を行う。また,同様の問題に対して先進的な取り組みを行う外国の大学等に対するヒアリング調査を行う。さらに,教員養成課程等を置く大学の担当教員を主要メンバーとした検討会議を設置し,教員養成課程等で身につけるべきICT活用指導力とは何か,また,ICT活用指導力等の育成のための具体的な指導内容・方法について議論する。

論文等

受賞学術賞

学位論文

著書

学会誌フルペーパー

学会誌ショートペーパー

研究紀要フルペーパー

国際会議フルペーパー

国際会議ポスター

学会発表研究会

学会発表大会総会

解説書評

研究成果物